大型ブロック積み擁壁の安定計算|道路土工 擁壁工指針に準拠

v1.1.0 最終更新日: 2026-08-25

大型ブロック積擁壁の設計計算ツールです。道路土工 擁壁工指針 5-7-4(3)により、通常のブロック積擁壁に準じた構造は解表5-7で断面を照査し、もたれ式擁壁に準じた構造は解表5-8で最小控長を照査したうえで、常時・地震時の転倒・滑動・支持に対する安定計算と部材の安全性の照査を行います。

このツールで検討できること
  • 解表5-7・解表5-8により大型ブロック積み擁壁の断面を照査し、常時・地震時の転倒・滑動・支持力の安定計算と部材の安全性の照査を行います。
  • 構造タイプ(通常のブロック積擁壁に準じた構造/もたれ式擁壁に準じた構造)を選べます。
対象外・注意が必要な条件
  • 構造タイプにより照査体系が全く異なります。使用する製品がどちらに該当するかは、製品の技術資料でご確認ください。
  • 練積の大型ブロック(控長50cm以上)が対象で、擁壁高は原則8m以下です。背面土は単一土層・水位なしとして扱います。
  • 部材照査は壁体を一体の無筋断面とみなした縁応力度の照査です。ブロック間の結合部・かみ合わせ部の照査は製品ごとの資料によってください。

適用範囲と計算上の仮定をすべて見る

1. 基本条件

大型ブロック積擁壁は、ブロック間の結合構造等に応じて設計方法が分かれます(擁壁工指針 解表5-6)。かみ合わせ構造・突起・胴込めコンクリートの練積等により通常の練積に相当するブロック間の摩擦が確保されている場合は「通常のブロック積擁壁に準じた構造」、鉄筋コンクリートや中詰めコンクリート等でブロック間の結合を強固にし、ブロックが一体となって土圧に抵抗する場合は「もたれ式擁壁に準じた構造」とします。ブロック間のかみ合わせ抵抗のない空積による大型ブロック積擁壁の構築は行ってはなりません。

裏込め材の設置形状の判定に用います。通常のブロック積擁壁に準じた構造の大型ブロック積擁壁の背面地盤の適用条件は擁壁工指針 5-7-4(1)により、もたれ式擁壁に準じた構造の場合は同 5-7-3(1) によります。

設計水平震度の標準値kh0を解表5-1から自動で求めるために使用します。

「道路土工要綱 巻末資料 資料-1」に示す地域別補正係数です。設置地点が地域の境界線上にある場合は係数の大きい方を用います。

kh = cz × kh0(解5-1)で自動計算されますが、直接入力した値がそのまま使われます。標準値kh0はレベル1地震動でⅠ種0.12・Ⅱ種0.15・Ⅲ種0.18(解表5-1)。

2. 擁壁形状

基礎コンクリート上面から擁壁天端(天端コンクリート上面)までの鉛直高さです。この直高に応じて適用できる控長・背面勾配が定められています(擁壁工指針 解表5-7・解表5-8)。

鉛直1に対する水平方向のずれです。ブロック積擁壁は背面勾配と前面勾配が等しく、1:1より急な勾配が用いられます。控長・直高に応じた値は自動で設定されます。

大型積みブロックの控えの長さです。通常のブロック積擁壁に準じた構造では控長を直高に対し等厚とし、背面勾配・直高との関係を解表5-7により定めます。もたれ式擁壁に準じた構造では、背面勾配と直高に応じた最小控長を解表5-8(0.15H・0.12H・0.1H以上、かつ50cm以上)により定めます。

擁壁背面に裏込めコンクリートを設ける場合の厚さです。大型ブロック積擁壁では設けない場合が多く、その場合は0とします。壁体は控長と裏込めコンクリート厚を合わせた等厚断面として扱います。

擁壁天端に設ける天端コンクリートの厚さです。5〜10cm程度とします(擁壁工指針 5-7-4(2)7))。

砕石等の上に設置する基礎コンクリートの厚さです。

基礎コンクリートのうち、壁体前面より前方へ張り出す長さです。基礎コンクリート幅 B は Lt+壁体幅+Lh として自動算出します。もたれ式擁壁に準じた構造では、この張出し部をつま先版として部材照査します。

基礎コンクリートのうち、壁体背面より後方へ張り出す長さです。

基礎コンクリートの下に敷き均す砕石等の厚さです。10〜20cm程度とします(擁壁工指針 5-7-4(2)6))。

大型ブロック積擁壁の背面には裏込め材を設置するものとし、その設計は通常のブロック積擁壁に準じてよいとされています(擁壁工指針 5-7-4(3)3))。盛土部では上端厚30cmを基本とし、背面の地山が良質な場合には20cm程度としてよく、切土部では等厚に設置してよいとされています。

3. 土砂形状

背面の地表面が擁壁天端より下がっている場合の下がり量です。

4. 荷重条件

擁壁工指針 5-2-4(2)は主働土圧を試行くさび法により算定することを標準としています。土圧係数法は概算用です。

ブロック積擁壁の壁面は背面側へ傾いているため、鉛直な壁面を前提とした土圧係数をそのまま用いると土圧を過大に見込みます。試行くさび法の利用を推奨します。

地震時の照査に用いる地震時主働土圧係数です。試行くさび法を選んだ場合は、設計水平震度khを考慮した試行くさび法により自動的に算定するため入力は不要です。

土圧の算定に用いる背面土のせん断抵抗角です。壁面摩擦角δは擁壁工指針 解表5-2により、常時2φ/3・地震時φ/2として自動的に設定します。

背面地表面に作用する等分布荷重です。

5. 材料

大型積みブロック・胴込め(中詰め)コンクリート・裏込めコンクリートを合わせた壁体の等価な単位体積重量です。指針は壁体を等厚なコンクリート断面として計算してよいとしており、その場合は23.0とします。中空部の充填状況により実重量が異なる製品では、製品資料の重量から換算した値を入力してください。

基礎コンクリート・天端コンクリートの単位体積重量です。

積みブロックを除く天端コンクリート・胴込めコンクリート・裏込めコンクリート・基礎コンクリートに使用するコンクリートの設計基準強度です。18N/mm2程度以上とします(擁壁工指針 5-7-4(2)8))。

無筋コンクリートの許容圧縮応力度です。擁壁工指針 表4-6によりσck/4かつ5.5以下(σck=18で4.50)。もたれ式擁壁に準じた構造の部材照査に用います。

無筋コンクリートの許容曲げ引張応力度です。擁壁工指針 表4-6によりσtk/7かつ0.3以下。躯体断面には引張応力が生じないようにするのが望ましいとされています。

コンクリートのみでせん断力を負担する場合の許容せん断応力度τa1です。擁壁工指針 表4-3の値(σck=21で0.22、24で0.23、27で0.24、30で0.25)。部材断面の有効高に関する補正係数ccは自動で乗じます。

擁壁工指針 表4-2により、地震の影響を考慮する場合は1.50。

6. 地盤条件

擁壁工指針 解表4-9の参考値: 岩盤0.7、礫層0.6、砂質土0.6、粘性土0.5(基礎地盤が土の場合は0.6を超えないものとする)。

擁壁工指針 解表4-9では付着力を考慮しないこととしているため、通常は0とします。

擁壁工指針 解表4-8の参考値(常時値): 硬岩1000〜600、軟岩・土丹300、密な礫層600、密な砂質地盤300、中位の砂質地盤200、非常に硬い粘性土200、硬い粘性土100。大型ブロック積擁壁は良質な基礎地盤上に設置することを原則とします。地震時は自動で1.5倍します。

擁壁工指針 5-3-2(1)1)により常時1.5。

擁壁工指針 5-3-2(1)1)により地震時1.2。

リアルタイムプレビュー

入力に応じて自動更新

断面図

計算方法と適用範囲

このツールで計算できること

大型ブロック積み擁壁(延長1mあたり)について、構造タイプに応じた断面の適合確認と安定計算・部材照査を行います。「通常のブロック積擁壁に準じた構造」では解表5-7による適合確認と支持に対する安定計算を、「もたれ式擁壁に準じた構造」では解表5-8による最小控長の確認と、もたれ式擁壁に準じた安定性・部材の安全性の照査を行います。常時に加えて地震時の照査に対応します。

計算方法・使用式

  • 構造タイプの区分: ブロック間の結合構造等により「通常のブロック積擁壁に準じた構造」と「もたれ式擁壁に準じた構造」に分け(解表5-6)、照査体系を切り替えます。
  • 通常のブロック積みに準じた構造: 控長に応じた背面勾配と直高の関係(解表5-7。控長50cm以上)への適合を確認します。直高5m以上では支持力の照査を行い、底面の鉛直地盤反力度は式(解5-32)により求めます。転倒・滑動は指針の要求外のため参考照査として表示します。
  • もたれ式擁壁に準じた構造: 背面勾配と直高に応じた最小控長(解表5-8)を確認のうえ、転倒は合力の作用位置d(常時 d>B/2、地震時 d≧B/3)、支持はd≧B/2のとき壁面地盤反力を考慮した簡便法(式 解5-26〜解5-29)、滑動は Fs = (V・μ+cB・B′)/H で照査します。部材は壁体水平断面の縁応力度・平均せん断応力度を照査します(指針5-7-3・5-4)。
  • 土圧: 試行くさび法または土圧係数法で算定します(指針5-2-4。地震時は地震時土圧)。

入力と出力

入力: 構造タイプ・背面の条件(盛土部/切土部)・地盤種別・地域別補正係数cz・設計水平震度kh、擁壁形状(直高・背面勾配1:N・控長・裏込めコンクリート厚・天端/基礎コンクリート寸法・裏込め材厚など)、土砂形状(天端からの下がり・法担ぎ)、土圧条件(算定方法・Ka・γ・φ・上載荷重q)、材料(壁体・コンクリートの単位体積重量・Fc・許容応力度)、地盤条件(摩擦係数μ・付着力cB・許容支持力度・滑動の許容安全率)。

出力: 解表5-7または解表5-8への適合確認、構造タイプに応じた安定照査(支持、またはd・滑動・支持)と部材照査(もたれ式に準じた構造のみ)のOK/NG判定、参考照査の結果。計算過程つきの帳票(計算書)を出力できます。

適用範囲・計算上の仮定

  • 延長1mあたりの2次元断面として計算します。
  • 練積の大型ブロック(控長50cm以上)を対象とし、擁壁高は原則8m以下(指針5-7-4(3)の解説)です。
  • 構造タイプにより照査体系が全く異なります。使用するブロック製品がどちらの構造に該当するかは、製品の技術資料で確認してください。
  • 背面土は単一土層・水位なしとし、地下水位・水圧は考慮しません。
  • 「通常のブロック積擁壁に準じた構造」の転倒・滑動は指針の要求外の参考値です。
  • 部材照査は壁体を一体の無筋断面とみなした縁応力度の照査で、ブロック間の結合部・かみ合わせ部の照査は製品ごとの資料によってください。

使用基準・参考文献・設計者が確認すべき事項

  • 道路土工 擁壁工指針(平成24年7月、日本道路協会): 大型ブロック積擁壁(5-7-4(3)、解表5-6〜解表5-8)、もたれ式擁壁の設計(5-7-3)、土圧の算定(5-2-4)、安定性の照査(5-3-2、式 解5-32)、部材の安全性の照査(5-4)。

設計水平震度・許容応力度・土質定数・許容支持力度は設計条件に応じて設定してください。ブロック製品固有の構造細目(結合構造・中詰めコンクリート・胴込め)、基礎の根入れ、排水工は本ツールの計算外です。設計者が製品の技術資料とあわせて確認してください。