タワークレーン基礎の設計|クレーン構造規格の風荷重・地震荷重に準拠

v1.1.0 最終更新日: 2026-08-25

タワークレーン(クライミングクレーン)の基礎の設計計算ツールです。クレーン構造規格 第9条の風荷重(作動時・停止時)と第10条の地震荷重により、作業時・暴風時・地震時の荷重を求め、直接基礎(マット基礎)の転倒・滑動・支持力・浮上りの安定計算と基礎スラブの断面計算、又は仮設構台のH形鋼支持杭の押込み・引抜き・杭体応力・水平変位の照査を行います。

このツールで検討できること
  • タワークレーン基礎について、直接基礎(マット基礎)または仮設構台(H形鋼支持杭)の設計計算を行います。
  • クレーン反力はメーカー資料の値を直接入力するほか、クレーン構造規格に基づく風荷重・地震荷重から作業時・暴風時・地震時の3ケースを組み立てて算定できます。
対象外・注意が必要な条件
  • 定置式(固定基礎)が対象です。クライミング式の本体支持・マスト割付の検討は対象外です。
  • クレーン反力はメーカーの据付計画資料の値を優先してください。クレーン構造規格からの算定は、資料が入手できない場合の概算手段です。
  • タワークレーン基礎そのものの設計基準は存在しないため、荷重はクレーン構造規格、基礎の照査は一般の基礎の設計法(告示・道路橋示方書・山留め設計指針)を組み合わせた構成です。
  • 基礎スラブの照査は片持ばりの略算です。杭基礎マットのような複雑な応力状態は扱いません。液状化・地盤改良の要否も対象外です。

適用範囲と計算上の仮定をすべて見る

1. 基本条件

直接基礎は、クレーンのベースフレームを支持するマット基礎(べた基礎)を地盤上に設ける形式です。仮設構台は、乗入れ構台の上にクレーンを設置し、荷重を構台の支持杭(H形鋼)で地盤に伝える形式で、支持杭を入力した地層で検討します。

メーカーの基礎反力表(作業時・暴風時の鉛直力・水平力・転倒モーメント)が手元にある場合は「直接入力」を選んでください。反力表が無い場合は、クレーン諸元からクレーン構造規格 第9条の風荷重 W=qCA を用いて算定します。

クレーン構造規格 第10条は、地震荷重を垂直静荷重の20%に相当する水平力として計算するものとしています。仮設構造物であっても地震時の検討を求められる場合があるため、選択できるようにしています。

クレーン構造規格 第10条は垂直静荷重の20%(kh=0.20)としています。

鋼材・コンクリートの許容応力度を短期として扱うかどうかの選択です。仮設構造物は使用期間が短いため、全ケースを短期として扱うのが一般的です。なお、転倒・滑動・支持力・杭の支持力の安全率は、この選択によらず荷重ケースの性質(作業時=長期、暴風時・地震時=短期)で決まります。

2. クレーン反力

作業時(クレーン構造規格 第11条第2号相当:垂直動荷重+水平動荷重+作動時の風荷重)の基礎反力です。クレーン自重とつり荷を含み、基礎自重は含めません。

風荷重・旋回や走行の慣性力(水平動荷重)による水平力です。

クレーンのベース下面(基礎上面)における転倒モーメントです。つり荷の偏心・風荷重によるモーメントを含みます。

旋回の起動・制動による鉛直軸まわりのねじりモーメントです。支持杭の水平力の分配に用います(直接基礎では底面の摩擦で抵抗するものとして照査対象外)。

暴風時(同第5号相当:垂直静荷重+停止時の風荷重)の基礎反力です。つり荷は無く、クレーン自重のみとなります。

停止時の風荷重(風速55m/s相当)による水平力です。作業時よりかなり大きくなります。

3. クレーン諸元

マスト・ジブ・カウンタウェイトを含むクレーン全体の自重です。

クレーン自重の重心が基礎中心からどれだけ偏っているかを表します。ジブ側を正、カウンタジブ側を負として入力してください。

風荷重による水平力の作用高さ・地震時の慣性力の作用高さに用います。基礎上面からの高さで入力してください。

作業時に見込むつり荷の質量に相当する荷重です。定格総荷重で入力してください。

つり荷による転倒モーメント M = P・R の算定に用います。基礎中心からつり荷までの水平距離です。

クレーン構造規格 第9条第4項による受圧面積(風の方向に直角な面への投影面積)です。マスト(タワー)部の値を入力してください。使わない受風面は面積を0としてください。

クレーン構造規格 第9条第3項による風力係数です。平面トラスは充実率に応じて1.6〜2.0、平板は1.2〜1.9、円筒・鋼管製トラスは0.7〜1.2です。

速度圧 q は q=83・h^(1/4)(作動時)/q=980・h^(1/4)(停止時)で高さにより変わります。受風面の地上高さ(16m未満は16mとして扱われます)を入力してください。

旋回・走行の起動制動による水平動荷重を、垂直荷重に対する割合で見込みます。メーカー値がある場合はその値を用いてください。

4. 基礎形状

クレーンの転倒モーメントに抵抗する方向の基礎幅です。X方向・Y方向の両方向について照査します。

マット基礎の版厚です。基礎自重は Bx・By・D・γc として算定します。

地表面から基礎底面までの深さです。基礎上面より上の部分は埋戻し土として自重に加算し、支持力の算定では上載圧として扱います。

クレーンのアンカーフレーム(ベース)の外辺寸法です。基礎スラブは、この位置を固定端とする片持ばりとして曲げ・せん断を照査します。

5. 支持杭(仮設構台)

構台の支持杭に用いるH形鋼です。断面性能は公称寸法から算出します(フィレットを無視した安全側の値)。

クレーン荷重を分担する支持杭を、X方向・Y方向の格子状に配置するものとして軸力を分配します。

杭の中心間隔です。杭1本あたりの軸力は N = V/n ± M・x/Σx² により分配します。

杭頭から杭先端までの全長です。このうち地上突出長 h を除いた部分が地中に根入れされます。

地表面から構台桁下(杭頭)までの高さです。座屈長・杭頭曲げモーメントの算定に用います。

極限支持力の算定に用いる杭先端の極限支持力度 qd・最大周面摩擦力度 fi は、道路橋示方書Ⅳ 表-10.5.2/表-10.5.3 の工法別の値によります。

H形鋼は先端が閉塞しないため、先端支持力は鋼材の実断面積で見込み、周面摩擦力はフランジ間に土が付着してブロック化するものとして外周矩形 2(H+B) で見込むのが一般的です。

仮設材は転用材(再使用材)を用いることが多いため、山留め設計指針 5.2 により許容応力度を1.2で除して低減します。

杭頭が構台桁と剛結される場合、水平力による杭頭曲げモーメントは M=H(h+1/β)/2、ピン結合の場合は M=H(h+1/β) として算定します。

有効座屈長 lk = k(h + 1/β) の係数です。両端ピンは1.0、一端固定・他端ピンは0.7を目安とします。水平つなぎ材が無い場合は1.0としてください。

構台桁・覆工板など、クレーン荷重を分担する支持杭が負担する構台自体の重量です。

構台上のクレーンは水平変位が大きいと運転に支障が出るため、一般に15mm程度以下に抑えます。

道路橋示方書では常時3.0・地震時2.0に相当します。仮設構造物設計指針の考え方により、仮設では常時も2.0とする場合があります。

引抜き抵抗力の安全率は押込みの2倍(常時6.0・地震時3.0)とするのが道路橋示方書の考え方です。

6. 地層条件

地表面から順に地層を入力します。直接基礎では基礎底面直下の層を支持層として支持力・上載圧の算定に、仮設構台では杭の周面摩擦力・先端支持力・水平地盤反力係数の算定に用います。液状化のおそれのある層や負の周面摩擦力が想定される軟弱層は「周面摩擦力の考慮」を「考慮しない」としてください。

最大15層
層厚(m) 土質区分 N値 c(kN/m2) γt(kN/m3)湿潤 γsat(kN/m3)飽和 周面摩擦力
1
2
3
4

粘着力 c は粘性土層で用います。周面摩擦力度は、c を入力した層は c から、入力していない層は N値から算定します(道路橋示方書Ⅳ 表-10.5.3)。

7. 地盤条件・照査条件

地表面からの深さ(GL-m)で入力してください。水位以深は有効単位体積重量(γsat−9.81)で扱い、直接基礎では揚圧力を考慮します。

地盤調査結果から許容鉛直支持力度が与えられている場合は直接入力してください。支持力式による算定は、基礎底面直下の層のc・φ(N値から推定)を用いた概算です。

参考値(長期): 密な礫層600、密な砂質地盤300、中位の砂質地盤200、非常に硬い粘性土200、硬い粘性土100 kN/m2。

参考値: 岩盤0.7、礫層0.6、砂質土0.6、粘性土0.5(基礎地盤が土の場合は0.6を超えないものとする)。

暴風時・地震時は短期として許容鉛直支持力度を割り増します。建築基準では長期の1.5倍(=短期)とするのが一般的です。

変形係数 E0 = 2800N(kN/m2)に乗じる係数です。道路橋示方書Ⅳ 表-8.5.1により、N値からの推定では常時・地震時とも1.0とします。

8. 基礎スラブの断面計算

参考値: σck=21で7.0、σck=24で8.0、σck=27で9.0 N/mm2(設計基準強度の1/3程度)。

コンクリートのみでせん断力を負担する場合の平均せん断応力度の許容値です。参考値: σck=21で0.22、σck=24で0.23、σck=27で0.24 N/mm2。

参考値: SD295で160、SD345で180 N/mm2(常時)。

基礎スラブの下側主鉄筋(引張鉄筋)の配置間隔です。単位幅1mあたりの鉄筋量 As = as×1000/ピッチ として照査します。

暴風時・地震時の許容応力度の割増係数です。一般に1.5とします。

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計算方法と適用範囲

このツールで計算できること

タワークレーン基礎について、直接基礎(マット基礎)または仮設構台(H形鋼支持杭)の設計計算を行います。クレーンから基礎に伝わる荷重は、メーカー資料の反力を直接入力するか、クレーン構造規格に基づく風荷重・地震荷重から作業時・暴風時・地震時の3ケースを組み立てて算定します。

計算方法・使用式

  • クレーン荷重: クレーン構造規格により、風荷重 W = q・C・A(速度圧 q = 83・h^(1/4)(作動時)/980・h^(1/4)(停止時)。第9条)、地震荷重は垂直静荷重の20%の水平力(第10条)とし、作業時(作動時風+水平動荷重+つり荷)・暴風時(停止時風・つり荷なし)・地震時(つり荷なし)の3ケースを組み合わせます(第11条)。
  • 直接基礎: 転倒は合力の偏心量(長期 |e|≦B/6、短期 |e|≦B/3)、滑動は Fs = (V・μ+cB・A)/H、支持は最大地盤反力度 qmax ≦ 許容支持力度qa(偏心がB/6を超える場合は三角形分布)、浮上りは Fs =(鉛直力+基礎自重+埋戻し土重量)/揚圧力 で照査します。qaは平成13年国交省告示第1113号の支持力係数(別表の直線補間)または理論式で算定します。基礎スラブはクレーンベース外面を固定端とする片持ばりとして曲げ・せん断を照査します。
  • 仮設構台: 各杭の軸力は N = V/n ± M・x/Σx²(弾性支承とみなした剛体分配)で求めます。鉛直支持力は Ru = qd・Ap + U・ΣLi・fi(道路橋示方書Ⅳの特性値表)、水平抵抗はChangの式により仮想固定点深さ1/βを求め、杭を「地上突出長+1/βの柱」として曲げ・軸力・座屈を照査します。H形鋼は全方向の水平力を想定し、弱軸まわりで照査します(安全側)。
  • 許容応力度: 安定計算の安全率と部材の許容応力度で根拠を分けており、仮設材の許容応力度は山留め設計指針5.2(基準強度Fを短期許容応力度とする)によります。

入力と出力

入力: 基礎形式(直接基礎/仮設構台)・荷重の入力方法(メーカー反力の直接入力/クレーン構造規格による算定)・地震時検討の有無、クレーン反力(作業時・暴風時・地震時のV・H・M・Mt)またはクレーン諸元(自重・重心・つり荷・受風面積など)、基礎の諸元(マット基礎の寸法・配筋、または構台の杭配置・H形鋼断面・地層条件)、地盤条件(許容支持力度・摩擦係数など)。

出力: 荷重ケースごとの、直接基礎では転倒(偏心量)・滑動・支持・浮上りの照査と基礎スラブの断面照査、仮設構台では杭の軸力分配・鉛直支持力・水平抵抗(応力度・座屈)の照査のOK/NG判定。計算過程つきの帳票(計算書)を出力できます。

適用範囲・計算上の仮定

  • 定置式(固定基礎)のタワークレーンを対象とします。クライミング式の本体支持・マスト割付の検討は対象外です。
  • クレーン反力はメーカーの据付計画資料の値を優先してください。クレーン構造規格からの算定は、資料が入手できない場合の概算手段です。
  • 日本クレーン協会等による「基礎の設計基準」は存在しないため、荷重はクレーン構造規格、基礎の照査は一般の基礎の設計法(告示・道路橋示方書・山留め設計指針)を組み合わせた構成です。
  • 地盤は単一層または入力した地層条件によります。液状化・地盤改良の要否は対象外です。
  • 基礎スラブの照査は片持ばりの略算です。杭基礎マットのような複雑な応力状態は扱いません。

使用基準・参考文献・設計者が確認すべき事項

  • クレーン構造規格(平成7年労働省告示第134号): 風荷重(第9条)・地震荷重(第10条)・荷重の組合せ(第11条)。
  • 平成13年国土交通省告示第1113号: 直接基礎の支持力係数。
  • 道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編(平成29年11月、日本道路協会): 杭の極限支持力の特性値(表-10.5.2・表-10.5.3)、水平地盤反力係数(8.5)。
  • 山留め設計指針(日本建築学会): 仮設材の許容応力度(5.2)。

クレーンの設置届・落成検査等の手続きでは所轄の労働基準監督署・検査機関の運用が優先されます。採用したクレーン反力の妥当性、地盤調査結果との整合、埋戻し・排水などの施工条件は、設計者が別途確認してください。