杭基礎の支持力計算|道路橋示方書・建築基準の両方に対応

v1.1.0 最終更新日: 2026-08-25

道路橋示方書・建築基準(告示第1113号)の両方に対応した杭基礎の支持力計算ツールです。多層地盤の層データから、杭の鉛直支持力(押込み)・引抜き抵抗力・沈下量・水平抵抗(Chang式)を検討します。

このツールで検討できること
  • 杭1本あたりの鉛直支持力(押込み)・引抜き抵抗力・沈下量・水平抵抗を検討します。
  • 道路橋示方書(土木)と告示・建築基礎構造設計指針(建築)を選べます。打込み杭・場所打ち杭・中掘り杭・プレボーリング杭・鋼管ソイルセメント杭・回転杭に対応します。
対象外・注意が必要な条件
  • 単杭1本あたりの計算です。群杭効果や、杭群としての基礎全体の設計(フーチング・杭配置・杭体断面の照査)は対象外です。
  • 負の周面摩擦力(ネガティブフリクション)、杭体の断面照査(応力度・座屈)、液状化時の低減は扱いません。液状化のおそれの有無は液状化判定(簡便法)でご確認ください。
  • 支持力はN値(および粘性土のc)による推定式です。載荷試験による設定が優先される場合は、そちらによってください。
  • 水平抵抗のChangの式は地盤を一様な弾性支承とみなす略算法です。多層地盤では変形係数の代表値の設定にご注意ください。

適用範囲と計算上の仮定をすべて見る

1. 基本条件

土木基準は道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編(平成29年11月)10.5〜10.6、建築基準は平成13年国土交通省告示第1113号第6・建築基礎構造設計指針に準じます。

道路橋示方書の杭工法区分です。中掘り杭工法の先端支持力度はセメントミルク噴出攪拌方式の値で、最終打撃方式では打込み杭工法を選択してください。

摩擦杭は先端支持力を見込まず、周面摩擦力のみで支持します。

2. 杭の諸元

周長U=πDの算定に用います。鋼管ソイルセメント杭ではソイルセメント柱径を入力してください。

先端面積A=πDp²/4の算定に用います。拡底杭は拡底部の径、鋼管ソイルセメント杭はソイルセメント柱径、回転杭は羽根径を入力してください。

杭の断面積・断面二次モーメント(弾性圧縮・水平抵抗)の算定に用います。

フーチング下面など、杭頭の位置を地表面からの深さで入力してください。周面摩擦力は杭頭深度から杭先端までの範囲で積算します。

参考値: 鋼材 200 kN/mm2、PHC杭 40 kN/mm2、場所打ちコンクリート杭 25 kN/mm2程度。

杭及び杭内部の土の有効重量Wの算定に用います(地下水位以深は浮力を差し引きます)。

3. 設計荷重・検討項目

杭頭に作用する1本あたりの軸方向押込み力です(フーチング・上載土の重量を含めた値)。

回転杭工法の引抜き抵抗(羽根のアンカー効果)の算定に用います。H≦2.5Dwとして扱います。

4. 地層条件

地表面から順に地層を入力します。周面摩擦力は杭頭深度から杭先端までの範囲について、層ごとに積算します。液状化のおそれのある層や、負の周面摩擦力が想定される軟弱層は「周面摩擦力の考慮」を「考慮しない」としてください。

最大20層
層厚(m) 土質区分 N値 c(kN/m2) γt(kN/m3)湿潤 γsat(kN/m3)飽和 周面摩擦力
1
2
3
4
5

粘着力 c は粘性土層で用います。道路橋示方書ではcを入力した層はcから、入力していない層(c=0)はN値から最大周面摩擦力度を算定します。建築基準ではcを入力していない粘性土層は周面摩擦力を見込みません。

5. 支持層・地盤定数

地表面からの深さ(GL-m)で入力してください。水位以深は有効単位体積重量(γsat−9.81)で扱います。

道路橋示方書では先端支持力度 qd の算定に、建築基準では qp = α・N の算定に用います(建築基準ではN>60のとき60とします)。

杭頭付近(おおむね1/β の深さまで)の平均N値を入力してください。E0 = 2800N で変形係数に換算します。

告示第1113号に定める値: 打撃工法 300、セメントミルク工法(埋込み杭)200、アースドリル等の場所打ち杭 150。これ以外の工法は大臣認定等による値を入力してください。

砂質地盤の周面摩擦力度は 10N/3 で算定し、この値を上限とします。

粘土質地盤の周面摩擦力度は粘着力 c(=qu/2)で算定し、この値を上限とします。c を入力していない粘性土層は周面摩擦力を見込みません。

6. 照査条件

推定式による場合は調査・解析係数 ξ1=0.90、載荷試験による場合は 0.95 とします。

道路橋示方書では標準値 1.00 とされています。

抵抗の限界状態1(10.5.6)の制限値(橋脚: dd=ξ1・ΦY・dy、dy=杭径の5%、橋台: 杭径の1%、いずれも15≦dd≦50mm)と、基礎の変位の制限(10.5.1)の制限値(橋脚: 杭径の1%で15〜50mm、橋台: 15mm)のうち小さい方を許容水平変位とします。

告示第1113号では長期は極限支持力の1/3、短期はその2倍(=2/3)とされています。

リアルタイムプレビュー(杭・地層断面図)

入力に応じて自動更新

計算方法と適用範囲

このツールで計算できること

杭基礎の1本あたりの鉛直支持力(押込み)・引抜き抵抗力・沈下量・水平抵抗の検討を行います。準拠基準として道路橋示方書(土木)と告示・建築基礎構造設計指針(建築)を選択でき、打込み杭・場所打ち杭・中掘り杭・プレボーリング杭・鋼管ソイルセメント杭・回転杭の各工法に対応します。

計算方法・使用式

  • 土木基準(道路橋示方書Ⅳ下部構造編): 地盤の極限支持力 Ru = qd・A + U・ΣLi・fi(式10.5.4。qd・fiは杭工法・地盤種別ごとの特性値の表による)、押込みの制限値 Rd = ξ1・ΦY・λf・λn・(Ry−Ws) + Ws − W(式10.5.3)、変位の制限値 Rdp(λs=0.55。式10.5.1)、極限引抜き抵抗 Pu(式10.5.6。回転杭は羽根のアンカー効果を加算、式10.5.7)と引抜きの制限値 Pd(式10.5.5)・変位の制限値 Pdp(λp=0.25。式10.5.2)を照査します。
  • 建築基準(平成13年国交省告示第1113号第6・建築基礎構造設計指針): 極限支持力 Ru = qp・Ap + (Σ(10/3)Ns・Ls + Σc・Lc)・φ を求め、許容支持力は長期 Ra = Ru/3、短期 Ra = 2Ru/3 とします。
  • 周面摩擦: 粘性土はc(入力がある層)またはN値からの推定値、砂質土はN値から、工法ごとの上限値付きで層ごとに算定し積み上げます。
  • 沈下量: 杭の軸方向ばね定数Kv(道路橋示方書 式10.6.3/10.6.6)により、杭頭荷重から杭頭沈下量を推定します。
  • 水平抵抗: Changの式(半無限長の弾性支承梁)により、水平地盤反力係数kH(k = λ・k0・(B′/0.3)^(-3/4)、k0 = α・E0/0.3)と特性値 β = (kH・D/(4EI))^(1/4) を用いて、杭頭の水平変位・地中部最大曲げモーメントを求め、許容変位(杭径の1%など)と比較します。杭頭剛結・ヒンジの両条件に対応します。

入力と出力

入力: 準拠基準・杭工法・支持形式(支持杭/摩擦杭)・検討ケース(長期/短期・常時/地震時)、杭の諸元(杭径・先端径・断面(中空/中実)・肉厚・杭長・杭頭深さ・ヤング係数・単位体積重量)、設計荷重(押込みNd・引抜きPt・水平Hd)、地層条件(最大20層。層厚・土質・N値・c・γ)、支持層の条件(先端N値・変形係数E0)、照査条件(ξ1・λn・許容変位・安全率)。

出力: 押込み支持力(Ru・Rd・Rdpまたは長期/短期Ra)と設計荷重の比較、引抜き抵抗(Pu・Pd・Pdp)の照査、杭頭沈下量、水平抵抗(杭頭変位・最大曲げモーメント・その深さ)のOK/NG判定。計算過程つきの帳票(計算書)を出力できます。

適用範囲・計算上の仮定

  • 単杭1本あたりの計算です。群杭効果・杭群としての基礎全体の設計(フーチング・杭配置・杭体断面の照査)は対象外です。
  • 支持力は標準貫入試験のN値(および粘性土のc)による推定式で算定します。載荷試験による設定が優先される場合はそちらによってください。
  • 水平抵抗のChangの式は、地盤を一様な弾性支承とみなす略算法です。多層地盤ではkH算定用の変形係数の代表値の設定に注意してください。
  • 負の周面摩擦力(ネガティブフリクション)・杭体の断面照査(応力度・座屈)・液状化時の低減は対象外です。
  • 摩擦杭で軸方向ばね定数の推定式が道路橋示方書に規定されない工法は、沈下量を算定しません(その旨を結果に表示します)。

使用基準・参考文献・設計者が確認すべき事項

  • 道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編(平成29年11月、日本道路協会): 式10.5.1〜10.5.7(支持・引抜き)、表-10.5.2・表-10.5.3(qd・fiの特性値)、式10.6.1・10.6.3・10.6.6(β・Kv)、式8.5.2・8.5.3(地盤反力係数)。
  • 平成13年国土交通省告示第1113号 第6(建築基準選択時の支持力式)。
  • 建築基礎構造設計指針(日本建築学会): 許容支持力の考え方。
  • Changの式(杭の水平抵抗)。

ξ1・λnなどの部分係数・安全率、許容変位、地盤定数(N値・c・E0)の代表性は設計条件により異なります。支持層の確認(層厚・連続性)、施工法に応じた先端処理、群杭・杭頭結合部の設計は、設計者が別途確認してください。