RC単純床版橋の設計|道路橋示方書Ⅲに準拠

v1.3.0 最終更新日: 2026-08-25

RC単純床版橋(コンクリート主版を用いた単純支持の上部構造)の設計計算ツールです。平成29年 道路橋示方書Ⅲ 14章により、死荷重・活荷重(T荷重・L荷重)・衝撃から断面力を算出し、主版の限界状態1・限界状態3・耐久性能・構造細目を部分係数設計法で照査します。平成24年 道路橋示方書時点の許容応力度法による照査にも切り替えられます。

このツールで検討できること
  • RC単純床版橋の主版について、単位幅(1m)あたりの版部材として設計計算を行います。
  • 平成29年道路橋示方書の部分係数設計法(限界状態設計法)と、平成24年時点の許容応力度法を選べます。
対象外・注意が必要な条件
  • 単純支持のRC中実床版橋(場所打ち)の主版が対象です。連続橋・PC橋・プレキャスト版・中空床版は対象外です。
  • 主版の照査のみで、支点部の詳細(支承・橋座・落橋防止)や下部構造の設計は行いません。耐震設計(レベル2地震動)も対象外です。
  • 断面力は版全幅を1本のはりとみなして均す簡便法です(Ⅲ 14.3の規定に整合)。
  • H24(許容応力度法)は現行基準ではありません。既設橋の照査などで用いる場合は、許容応力度を原典で確認のうえ入力してください。

適用範囲と計算上の仮定をすべて見る

1. 基本条件

平成29年の道路橋示方書は許容応力度法を廃し、部分係数設計法(限界状態設計法)に移行しています。新設橋の設計はH29を選択してください。既設橋の再現計算など、平成24年の示方書時点の許容応力度法で検討する場合はH24を選択します。H24を選択すると、許容応力度を入力する欄が現れ、照査は曲げ応力度・せん断応力度・押抜きせん断応力度の比較に切り替わります。

高速自動車国道・一般国道・都道府県道及びこれらの道路と基幹的な道路網を形成する市町村道の橋にはB活荷重を適用します(道示Ⅰ 8.2(3))。

支承の中心間隔です。直橋ではこれがそのまま設計支間になります(道示Ⅲ 14.3.2(2))。

支承線と橋軸のなす角です。直橋は90度。45度未満はこの示方書の支間の規定の適用範囲外です。斜め支間 ls = ln × sin φ として自動算出し、式(14.3.1)により設計支間を定めます。

2. 橋の形状

主版の全幅です。地覆・歩道等を含む床版橋の全幅を入力してください。車道幅員は「版全幅 − 地覆の幅×2 − 歩道等の幅」として自動算出します。

コンクリート主版の版厚です。道示Ⅲ 14.4.1(5)により最小版厚は250mmです。

車道端部の地覆の幅です。地覆の自重は死荷重として主版全体に均等に分布するものとして扱います(道示Ⅲ 14.3.2(1))。

舗装面から地覆天端までの立上り高さです。地覆の自重の算定に用います。

歩道等がある場合、その部分には活荷重(T荷重・L荷重)に代えて群集荷重を載荷します(道示Ⅰ 8.2(5)2))。

両側の歩道等の幅の合計です。歩道等には群集荷重 3.5 kN/m2(支間長80m以下)を載荷し、衝撃は考慮しません(道示Ⅰ 8.3(4))。

アスファルト舗装の厚さです。単位体積重量は22.5 kN/m3(道示Ⅰ 表-8.1.1)として死荷重に見込みます。

高欄・防護柵等の1列あたりの重量です。左右2列分を死荷重に見込みます。

3. 材料

H29(限界状態設計法)では、コンクリートのヤング係数・平均せん断応力度・押抜きせん断応力度の基本値を、この値から示方書の表により自動的に定めます。H24(許容応力度法)では、この値は断面計算には直接用いず、下の許容応力度を入力して照査します。

H29(限界状態設計法)では道示Ⅲ 表-4.1.1による降伏強度の特性値を用います。平成29年の示方書ではSD295は規定されていないため、SD295はH24(許容応力度法)を選択した場合にのみ選べます。H24では降伏強度ではなく、下の許容引張応力度σsaを用いて照査します。

H24(許容応力度法)でのみ用います。許容応力度法で一般に用いられる値は、設計基準強度σckが21→7.0、24→8.0、27→9.0、30→10.0、40→14.0 N/mm2です。荷重の組合せによる割増しを見込む場合は、割増し後の値を入力してください。

H24(許容応力度法)でのみ用います。せん断力をコンクリートのみで負担する場合の平均せん断応力度の許容値です。はり部材として一般に用いられる値は、σckが21→0.22、24→0.23、27→0.24、30→0.25、40→0.27 N/mm2です。ただし床版及び支間長の短い床版橋については、これより割増した値が別に規定されているため、平成24年の示方書Ⅲ編の許容せん断応力度の表を確認して入力してください。

H24(許容応力度法)でのみ用います。T荷重の1輪による押抜きせん断の照査に用います。初期値は平成29年の示方書Ⅲ 表-5.7.1の押抜きせん断応力度の基本値(σck=24で0.90 N/mm2)と同じ値としています。平成24年の示方書の値を確認して入力してください。

H24(許容応力度法)でのみ用います。活荷重及び衝撃を含む荷重の組合せに対する鉄筋の許容引張応力度です。一般の部材ではSD295・SD345で180、SD390で210 N/mm2が用いられます。輪荷重の繰返しを直接受ける床版として扱う場合は140 N/mm2とするなど区分が異なるため、平成24年の示方書Ⅲ編の鉄筋の許容応力度の表を確認して入力してください。

H24(許容応力度法)でのみ用います。活荷重及び衝撃以外の主荷重(この計算では死荷重のみ)に対する鉄筋の許容引張応力度です。許容応力度法では100 N/mm2が用いられます。

4. 鉄筋(下側)

支間方向の引張主鉄筋です。道示Ⅲ 14.4.1(7)1)により直径13mm以上とします。「鉄筋を自動提案」を押すと、すべての照査を満たす最小の組合せを提案します。

道示Ⅲ 14.4.1(7)1)により中心間隔は200mm以下とします。

主鉄筋の中心までの距離ではなく、鉄筋表面からコンクリート表面までの最短距離です。有効高 d は「版厚 − かぶり − 主鉄筋径/2」として自動算出します。

支間直角方向の鉄筋です。死荷重・活荷重による支間直角方向の曲げモーメント(式(解14.3.1)のβによる)に対して照査します。

道示Ⅲ 14.4.1(7)2)により中心間隔は300mm以下とします。

5. 鉄筋(上側)

主版上側の支間方向の鉄筋です。道示Ⅲ 14.4.1(7)2)により直径13mm以上とします。

道示Ⅲ 14.4.1(7)2)により中心間隔は300mm以下とします。

主版上側の支間直角方向の鉄筋です。道示Ⅲ 14.4.1(7)2)により直径13mm以上とします。

道示Ⅲ 14.4.1(7)2)により中心間隔は300mm以下とします。

主版上側の鉄筋のかぶりです。

6. 耐久性能

道示Ⅲ 表-6.2.3・図-6.2.1により架橋地点の地域区分と海岸線からの距離から定めます。塩害の影響を受けない地域では、道示Ⅲ 5.2.3による最小かぶり35mm以上とします。

リアルタイムプレビュー

入力に応じて自動更新

横断面図・平面図

計算方法と適用範囲

このツールで計算できること

RC単純床版橋(コンクリート主版を用いた単純支持の上部構造)の主版について、単位幅(1m)あたりの版部材として設計計算を行います。準拠基準として、平成29年道路橋示方書の部分係数設計法(限界状態設計法)と、平成24年道路橋示方書時点の許容応力度法を選択できます。

計算方法・使用式

  • 断面力の算出は両基準共通です。設計支間・死荷重(版・舗装・地覆・高欄・歩道)・活荷重(T荷重またはL荷重)・衝撃による曲げモーメント・せん断力を、版全幅を1本のはりとみなして算出したうえで全幅で除し、単位幅あたりの値とします(Ⅲ 14.3)。支間直角方向(配力鉄筋方向)の曲げモーメントも算定します。斜角がある場合は支間の取り方に反映します。
  • H29(部分係数設計法): 作用の組合せと荷重係数(Ⅰ 3.3)を乗じた断面力に対し、限界状態1(降伏曲げモーメント。Ⅲ 5.5)、限界状態3(破壊抵抗曲げモーメント・せん断・押抜きせん断。Ⅲ 5.7・5.8.2)、耐久性能(かぶりによる内部鋼材の防食。Ⅲ 6.2)を照査します。最小版厚・鉄筋の構造細目(Ⅲ 14.4)も確認します。
  • H24(許容応力度法): ヤング係数比n=15のひび割れ断面により曲げ応力度σc・σsを、平均せん断応力度τm・押抜きせん断応力度τpを算出し、入力された許容応力度と比較します。許容応力度はツール側では値を持たず、利用者の入力値をそのまま用います。

入力と出力

入力: 準拠基準(H29/H24)・活荷重の種別・純支間・斜角、橋の形状(全幅員・版厚・地覆・歩道・舗装厚・高欄重量)、材料(コンクリート設計基準強度・鉄筋種別、H24では許容応力度)、主鉄筋・配力鉄筋(上側・下側の径・間隔・かぶり)、耐久性能の区分(H29の塩害区分)。

出力: 設計曲げモーメント・せん断力と、選択した基準に応じた照査(H29: 限界状態1・限界状態3・耐久性能、H24: σc・σs・τm・τpと許容値の比較)のOK/NG判定、最小版厚・構造細目の確認。計算過程つきの帳票(計算書)を出力できます。

適用範囲・計算上の仮定

  • 単純支持のRC中実床版橋(場所打ち)の主版の設計です。連続橋・PC橋・プレキャスト版・中空床版は対象外です。
  • 主版の単位幅あたりの照査であり、支点部の詳細(支承・橋座・落橋防止)、下部構造の設計は対象外です。
  • 断面力は版全幅を1本のはりとみなして均す簡便法です(Ⅲ 14.3の規定に整合)。
  • 耐震設計(レベル2地震動)は対象外です。
  • H24(許容応力度法)は現行基準ではありません。既設橋の照査などで用いる場合は、許容応力度を原典で確認のうえ入力してください。

使用基準・参考文献・設計者が確認すべき事項

  • 道路橋示方書・同解説(平成29年11月、日本道路協会): Ⅰ共通編 3.3(作用の組合せ・荷重係数)・8.1〜8.3(死荷重・活荷重・衝撃)、Ⅲコンクリート橋・コンクリート部材編 5.5(限界状態1)・5.7(限界状態3)・5.8.2(せん断耐力)・6.2(耐久性能)・14.3〜14.4(床版橋の断面力・構造細目)。
  • 道路橋示方書・同解説(平成24年、日本道路協会): 許容応力度法による照査の枠組み(H24選択時)。

活荷重の載荷(歩道部の群集荷重・雪荷重など)、支点部の補強、床版防水・排水、斜角が小さい場合の付加的な検討、下部構造・支承条件との整合は、設計者が示方書に照らして別途確認してください。