待ち受け擁壁の設計計算|崩壊土砂の衝撃力・土砂捕捉容量の検討

v1.3.1 最終更新日: 2026-08-25

斜面から離して設置し、崩壊した土砂を受け止める待ち受け擁壁の設計計算ツールです。崩壊土砂量と土砂捕捉容量の検討、崩壊土による移動の力・衝撃力の算定を行い、常時・衝撃時・堆積時の3つの荷重状態について転倒・滑動・支持力を照査します。あわせて竪壁の断面計算と落石防護柵の設計を行います。

このツールで検討できること
  • 崩壊土砂の衝撃力と堆積土圧を考慮して、常時・衝撃時・堆積時の3状態について安定計算を行います。
  • 土砂捕捉容量を算定し、必要な擁壁高と設置位置の検討に使えます。
対象外・注意が必要な条件
  • 崩壊土砂量・崩壊幅は斜面崩壊実績の統計値(斜面高さ区分による)です。個別の斜面について崩壊規模の想定がある場合は、そちらを優先してください。
  • 地震時の照査は行いません。底版を持たない台形断面の重力式(無筋コンクリート)が対象です。
  • 背面土は単一土層・水位なしとして扱います。支持力の照査は別途、直接基礎の地耐力計算に連動して実施します。

適用範囲と計算上の仮定をすべて見る

1. 躯体形状

擁壁の全高(底面から天端まで)です。重力式擁壁は底版を持たず、躯体そのものが底面で直接地盤に接します。

天端後端から底面後端までの水平方向のずれです。基礎幅Bは天端幅T1とT2・T3の合計として自動的に算出されます。

2. 地形条件

待ち受ける斜面の高さです。この高さに応じて、全国の斜面崩壊データによる崩壊土量Vと崩壊幅Wが自動的に決まります。

斜面の傾斜度です。移動の力Fsmの算定と、土砂捕捉容量の断面形状に用います。

斜面下端から擁壁までの平坦部の傾斜度です。建築物は通常敷地を平坦に造成するため、原則として0としてください。

斜面の下端から擁壁背面までの水平距離です。この空きが崩壊土砂を受け止める空間になります。値が大きいほど捕捉容量が増え、衝撃力は小さくなります。

擁壁天端と地表面(斜面下端のレベル)の高低差です。土圧を受ける仮想背面の高さは「擁壁高 H − 空き高さ Z」となります。

擁壁天端に落石防護柵を設置するかどうかです。設置する場合、その高さが崩壊土砂を受け止められる空き高さ hs に算入され、堆積した土砂による土圧に対して防護柵の照査も行います。設置しない場合、空き高さは擁壁の空き高さ Z のみとなります。

擁壁天端に設置する落石防護柵の高さです。堆積高さの上限(空き高さ hs = Z + Hsg)に算入されます。

3. 崩壊土砂

崩壊に伴う土石等が移動する層の高さです。衝撃力は FH = α・Fsm・hsm で算定します。

「土砂災害防止に関する基礎調査の手引き」による流体抵抗係数です。

待ち受け擁壁における衝撃力の緩和係数です。擁壁に作用する衝撃力は F = α・Fsm となります。

4. 背面土砂・材料

斜面上端より先の平坦部に載る上載荷重です。常時のみ考慮し、衝撃時・堆積時は考慮しません。

滑動抵抗は ΣV・μ + CB・B として算定します。

5. 許容安全率

6. 許容応力度

7. 防護柵

リアルタイムプレビュー

入力に応じて自動更新

断面図

計算方法と適用範囲

このツールで計算できること

待ち受け擁壁(斜面から離して設置し、崩壊した土砂を受け止める重力式擁壁。延長1mあたり)について、常時・衝撃時(崩壊土砂の衝撃力)・堆積時(堆積土砂の土圧)の3つの荷重状態の安定計算・躯体の応力度照査と、土砂捕捉容量の検討を行います。落石防護柵を天端に設置する場合は、防護柵(支柱・ワイヤーロープ)の設計もあわせて行います。

計算方法・使用式

  • 崩壊土砂による移動の力: 「土砂災害防止に関する基礎調査の手引き」の式により、斜面上の各地点で移動の力Fsmを求め、その最大値を採用します。衝撃力は移動の力に係数αを乗じて求め、擁壁天端から移動高さの1/2下がった位置に作用させます。
  • 荷重状態: 常時(自重+背面土砂の土圧+上載荷重)、衝撃時(自重+背面土砂の土圧+衝撃力。上載荷重は考慮しない)、堆積時(自重+背面土砂の土圧+堆積した崩壊土砂による土圧)の3ケースを照査します。
  • 安定計算: 各荷重状態について、転倒・滑動の安全率と地盤反力度を求めます。堆積土砂の土圧はCoulombの主働土圧係数によります。
  • 躯体の照査: 無筋コンクリートの台形断面(基礎幅B = T1+T2+T3)として、縁応力度(圧縮・引張)・せん断応力度を荷重状態ごとの許容応力度と比較します。
  • 土砂捕捉容量: 全国の斜面崩壊実績による斜面高さごとの崩壊土量・崩壊幅から想定崩壊土砂量を定め、捕捉容量 Vh ≧ 崩壊土砂量 v と、堆積高さ hd ≦ 擁壁天端+防護柵の高さ hs を照査します。
  • 防護柵: 堆積時に擁壁天端より上の堆積土砂の土圧を受けるものとして、支柱の曲げ・せん断とワイヤーロープの張力を照査します。

入力と出力

入力: 躯体形状(擁壁高・天端幅・前面/背面バッター)、地形条件(斜面高・上部/下部斜面勾配・擁壁までの距離・空き高さ・防護柵の有無と高さ)、崩壊土砂の条件(移動高さhsm・密度ρm・係数など)、堆積土砂・背面土砂の土質条件、許容安全率・許容応力度(荷重状態ごと)、防護柵の諸元(支柱間隔・断面性能・ワイヤーロープ)。

出力: 常時・衝撃時・堆積時それぞれの転倒・滑動・地盤反力度と躯体応力度照査のOK/NG判定、想定崩壊土砂量と捕捉容量・堆積高さの照査結果、防護柵の応力度照査。計算過程つきの帳票(計算書)を出力できます。

適用範囲・計算上の仮定

  • 延長1mあたりの2次元断面として計算します(土砂捕捉容量は崩壊幅を考慮)。
  • 底版を持たない台形断面の重力式(無筋コンクリート)擁壁が対象です。
  • 崩壊土砂量・崩壊幅は斜面崩壊実績の統計値(斜面高さ区分による)を用います。個別の斜面の崩壊規模の想定が別途ある場合はそちらを優先してください。
  • 地震時の照査は行いません(常時・衝撃時・堆積時の3状態です)。
  • 背面土は単一土層・水位なしとし、地下水位・水圧は考慮しません。
  • 支持力の照査は地盤反力度の算出までです。許容支持力度との比較は別途行ってください。

使用基準・参考文献・設計者が確認すべき事項

  • 盛土等防災マニュアルの解説[第二次改訂版](令和5年11月、ぎょうせい): 待ち受け擁壁の設計の考え方・荷重状態・照査項目。
  • 土砂災害防止に関する基礎調査の手引き: 崩壊土砂による移動の力Fsmの算定式。

衝撃力の係数α・崩壊土砂の密度・移動高さ・堆積土砂の土質定数は想定する崩壊形態により大きく変わります。急傾斜地崩壊対策等の事業では所管部署の基準・運用が優先されるため、適用条件と採用値の妥当性を設計者が別途確認してください。