重力式擁壁の一括計算|擁壁高ごとにまとめて安定計算
擁壁高の異なる重力式擁壁を表に並べて、まとめて計算します(延長1mあたり)。計算そのものは「重力式擁壁の安定計算」と同じソルバーで行うため、1タイプずつ計算した場合と同じ結果になります。
- 擁壁高・天端幅・前面勾配・背面勾配を擁壁ごとに入力し、まとめて計算します。底面幅Bは勾配から決まるため、計算結果として表に出します。
- 設計基準・検討ケース・土質・荷重・材料・かぶり・許容値は、表の外で全体に共通して設定します。
- 転倒・滑動・偏心量の安定計算のOK・NGを表の中で判定します。
- 計算書は擁壁のタイプ数ぶんを1つにまとめて出力できます(擁壁高を各計算書の表題にします)。
- 一度に計算できるのは20タイプまでです。
- 表の中では基準・条件を混在させられません。異なる設計基準や検討ケースで比べる場合は、条件ごとに計算してください。
- 重力式は無筋コンクリートで自重により安定させる構造のため、断面(鉄筋)の照査は行いません。
- 支持力の照査は最大地盤反力度の算定までを行うため、別途、直接基礎の地耐力計算と併せてご確認ください。
計算方法と適用範囲
このツールで計算できること
擁壁高の異なる重力式擁壁(無筋コンクリートの台形断面)を表に並べ、同一の設計基準・土質・荷重条件のもとでまとめて計算します。擁壁ごとに、土圧の算定、転倒・滑動の安定計算、合力の作用位置(偏心量)と地盤反力度の算定を行い、OK・NGを表の中で判定します。計算そのものは「重力式擁壁の安定計算」と同じソルバーで行うため、1タイプずつ計算した場合とまったく同じ結果になります。
計算方法・使用式
- 計算の進め方: 表の1行ごとに「共通条件(表の外で設定した設計基準・土質・荷重・材料・許容値)」と「その行の値(擁壁高・天端幅・前面勾配・背面勾配と、形状の詳細に入力した背面の法担ぎ・天端からの下がり)」を1件分の入力に組み立て、単体ツールと同じ計算を行います。行どうしが計算に影響することはありません。
- 土圧・安定計算の考え方は単体ツールと同じです(試行くさび法または土圧係数法、盛土等防災マニュアルの解説では安全率、道路土工 擁壁工指針では偏心量による転倒照査)。詳しくは「重力式擁壁の安定計算」の技術解説を参照してください。
- 底面幅Bの列: 底面幅は天端幅T1・前面勾配T2・背面勾配T3の合計として決まるため、入力ではなく計算結果として表に出します(B = T1+T2+T3)。擁壁高を変えて勾配をそのままにすると底面幅は変わらないので、高さに応じた勾配の見直しは設計者が行ってください。
- 表の判定: 「安定」は転倒(または偏心量)・滑動の照査をまとめたものです。重力式は無筋コンクリートで自重により安定させる構造のため、部材(断面)の照査は行わず、判定は安定計算だけになります。右端の「判定」は、そのすべてを満たしたときだけOKになります。
- qmaxの列: 最大地盤反力度です。支持力の照査(許容支持力度との比較)は行いません。地盤の許容支持力度がこの値を上回ることを、直接基礎の地耐力計算などで別途ご確認ください。
入力と出力
入力(共通条件・表の外): 準拠する設計基準・土圧の算定方法・検討ケース・設計水平震度kh、土質条件(γ・φ・土圧係数Ka)、上載荷重q、底面と地盤の摩擦係数μ、無筋コンクリートの単位体積重量・透水マット、許容安全率。
入力(擁壁ごと・表の中): 擁壁高H1・天端幅T1・前面勾配T2・背面勾配T3。「形状の詳細」から、背面の法担ぎ(法までの距離・法高・法幅)と擁壁天端からの下がりを擁壁ごとに設定します。
出力: 擁壁ごとの底面幅B・安定の判定・最大地盤反力度qmax、総合判定。判定の「詳細」から、その擁壁の照査値と許容値(安全率・偏心量)を確認できます。計算書は擁壁のタイプ数ぶんを1つにまとめて出力でき(各計算書の表題は「重力式擁壁 H=○○m」)、1タイプずつの計算書や単体ツールでも開き直せます。
適用範囲・計算上の仮定
- 表の中では、設計基準・検討ケース・土質・荷重・材料・許容値を混在させられません。これらは表の外で全体に共通して設定します。異なる条件で比べる場合は、条件ごとに計算してください。
- 一度に計算できるのは20タイプまでです。
- 重力式は無筋コンクリートで自重により安定させる構造のため、断面(鉄筋)の照査は行いません。躯体コンクリートに引張が生じないことを前提とする形式のため、必要に応じて縁応力等を別途確認してください。
- 支持力の照査は行いません(最大地盤反力度の算出まで)。許容支持力度との比較は、直接基礎の地耐力計算などで別途行ってください。
- 擁壁ごとの断面形状・土質条件・計算上の仮定は単体ツールと同じです(底版を持たない台形断面、土圧は常に実背面を基準に算定、背面土は単一土層・水位なし、滑動照査で受働抵抗を見込まない)。
- 盛土等防災マニュアルの解説の中地震時は安定照査を行わないため、「安定」の列は「—」になります。
使用基準・参考文献・設計者が確認すべき事項
- 盛土等防災マニュアルの解説[第二次改訂版](令和5年11月): 照査項目、安全率。
- 道路土工 擁壁工指針(平成24年7月、日本道路協会): 試行くさび法、偏心量による転倒照査、重力式擁壁の構造と適用(解表3-1では適用されている擁壁高は5m程度以下)。
設計水平震度・許容安全率・土質定数は参考の既定値を自動入力しますが、適用する事業・地域・地盤条件により異なります。まとめて計算する場合も、採用値の妥当性、支持地盤の許容支持力度、根入れ深さ、排水工、地下水位の影響、背面土の締固めは、擁壁ごとに設計者が別途確認してください。
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